事務所は借りていません。それでも月5万5000円かかっています

事務所を借りようか迷っている人へ。私は福島で映像制作とWebの仕事をしていて、事務所がありますが、借りてはいません。家賃を1円も払っていないのに、月に5万5000円ほどかかっています。光熱費と通信で2万5000円、築110年の家をリノベーションした100万円を3年で割って2万8000円。結局、借りるのと変わりませんでした。家賃以外に何がいくらかかるのかを、私の場合の数字で書きます。

事務所は借りていません。それでも月5万5000円かかっています

事務所を借りようか迷っている、という話をときどき聞きます。

私は福島で映像制作とWebの仕事をしていて、事務所があります。ただ、借りてはいません。家賃は0円です。

それでも、月に5万5000円ほどかかっています。

読んでほしいのは、自宅で作業していて、事務所を持とうか迷っている人です。家賃を払えるかどうかで止まっている人に、家賃以外の話をします。

私の事務所は、亡くなった祖父母の家です

先に、再現できない部分から書きます。

私の事務所は、亡くなった祖父母の家です。空になっていたので、そこを使っています。2年半から3年ほどになります。

築110年の木造家屋を改装した、実際の仕事場

親族の持ち物なので、家賃は発生していません。駐車場も敷地内なので0円です。かなり特殊です。

築110年の家です。そのままでは使えなかったので、リノベーションしました。

毎月出ていくのは、2万7000円ほどです

事務所の費用とは、家賃のことではなく、その場所を持つことで毎月出ていくお金すべてのことです。

電気、水道、通信、灯油などの固定費を示す無記名の書類と道具のイメージ写真
項目 金額
電気代 1万6000円
水道代 1250円(福島市は定額)
インターネット・通信 7500円ほど
灯油代(冬季を年でならした分) 2500円
ガス 引いていません
駐車場 0円
合計 約2万7000円

通信費は、携帯と同じ請求にまとまっているので、事務所ぶんだけを切り出せていません。7500円はその合算です。正確に分ければ、これより下がります。

電気代が高いのは、機材だけが理由ではありません

ここは自分に不利な話ですが、書いておきます。

機材の影響はあります。サーバーをずっと動かしていますし、ビデオ照明もかなり使います。

ただ、それだけではありません。建物が古いので、エアコンの強度を上げないと効きません。築110年の家に、いまの断熱はありません。

冬は、エアコンだけでは無理です。石油ストーブを併用しないと足りません。この灯油代は電気代とは別で、11月から3月ごろに月6000円ほどかかります。年に3万円、月にならすと2500円です。表に入れているのはこの額です。

この光熱費は、家賃0円と引き換えに出ている面があります。普通の賃貸事務所なら、同じ額にはならないと思います。

リノベーションに100万円。しかも材料費だけです

いちばん大きいのがここです。

リノベーション代に100万円ほどかけています。そして、これは材料費だけです。施工費は入っていません。

床から全部作りました。根太、大引、ベニヤ、床板、カーペット類。それを2部屋ぶんやっています。カーテン、照明、机、エアコンといった設備類も、この100万円に入っています。

施工したのは私たち自身です。友人5〜6人と一緒にやりました。当然、その人たちの人件費は乗っていません。昼飯や夕飯をおごったり、温泉をおごったりはしましたが、それだけです。

正直に書くと、正確な記録を残していないので、100万円で足りていない可能性もあります。その場合、以下の金額はもっと上がります。

つまりこの100万円は、材料費だけ、労働力は無料で調達、という条件で出た金額です。同じことを業者に頼めば、この額では終わりません。

初期費用は、何年で割るかで大きく動きます

初期費用は、使う年数で割って月あたりに直します。ただし、割る年数を変えると答えは大きく動きます。そこは先に書いておきます。

何年使うか 月あたり 毎月分と合わせて
3年 2万8000円 約5万5000円
5年 1万7000円 約4万4000円
10年 8300円 約3万5000円

私はいま2年半から3年です。この記事では3年で割った5万5000円を使いますが、長く使えば下がります。

逆に言えば、短期で出ていくつもりなら、月あたりの負担はもっと重くなります。

家賃0円で、月5万5000円です

3年で割った場合の内訳です。

月あたり
光熱費・通信・灯油 2万7000円
リノベーション代を3年で割った分 2万8000円
合計 約5万5000円

家賃を1円も払っていない状態で、これです。

だから、家賃だけでは判断できません

ここが、この記事でいちばん言いたいところです。

借りる人は、この5万5000円に家賃が乗ります。

私の金額と、月5万円の物件の家賃を並べて「同じくらいですね」とは言えません。借りる人にも、電気代も通信費も内装費もかかるからです。

月5万円の物件を見て迷っている人がいるとしたら、その5万円は、実際にかかるお金の一部でしかありません。私の場合、家賃以外だけで5万5000円出ています。同じにはならないにしても、家賃と同じくらいの額が、家賃の外側でかかると思っておいたほうがいいというのが、私の実感です。

家賃を払えるかどうかで止まっている、という話をよく聞きます。止まる場所が、そもそも手前すぎるのかもしれません。

自宅から移る人は、まるごと純増になります

もう1つ、私の数字をそのまま使えない理由があります。

私は個人事業主のころから、この事務所を使っていました。自宅と仕事場が、最初から分かれていた人間です。

自宅で作業している人が事務所を持つと、自宅の電気も通信もそのまま残ります。家族が住んでいるならゼロにはなりません。その場合、事務所の費用はまるごと純増です。

私の数字は、そこが最初から分かれていた人間の数字だと思って読んでください。

経費のことは、私には判断できません

事務所にすると経費の扱いが変わるはずだ、と考えている人は多いと思います。ここが判断の材料になるのは分かります。

ただ、何がどこまで経費になるかを、私は判断できる立場にありません。

私はこれらを自腹で払っていて、税務の処理は税理士に任せています。同じ条件でも人によって変わる話なので、必ず専門家に確認してください。

それでも、あってよかったと思っています

正直に言うと、「借りなくてもよかったかも」と思ったことはありません。

1つ目は、人が来られることです。取引先の人が来て、その場で話し合いができます。クリエイター仲間が来て、一緒にものを作ったり、議論したりできます。

会議そのものは、オンラインで足ります。そこは正直そう思います。私が違うと感じているのは、会議ではなくその前後です。招いて、雑談して、そのまま一緒に何かを見る。そこはオンラインだと起きません。

2つ目は、作業のほうです。周りに誘惑が少なくなります。仕事とプライベートの往復ができて、スイッチが場所で切り替わります。

ただし、事務所ができたから売上が増えた、ということはありません。私の場合はそうでした。なので「事務所を持てば事業が伸びる」とは書けません。

打ち合わせ場所が欲しいだけなら、コワーキングでいいと思います

事務所を持ちたい理由が「人と会う場所が欲しい」だけなら、コワーキングスペースで足りると思います。打ち合わせをするだけなら、それで全然いいはずです。

さらに言うと、事務所ではなくコワーキングスペースに登記してしまうという手もあると思います。そこで人との出会いが増えるかもしれません。

ただし、ここから先は私には分かりません。そのやり方をやっていないからです。使い勝手も、実際にいくらかかるのかも、登記した場合に何が起きるのかも、私は経験していません。

私はこう考えている、という話

線を引けるほど事例を持っていないので、私の考えとして書きます。

  • 人と会う場所が欲しいだけの人は、コワーキングスペースで足りると思います
  • 自宅でもくもく作業して、それで売上が上がっている人は、急いで持たなくていいと思います。会議はオンラインで足ります
  • 場所があると仕事の質が変わりそうだと感じている人は、持つ意味があると思います。ただし売上が増える保証はありません。私の場合、増えませんでした

売上がいくら以上なら、来客が月何回以上なら、という線は引けません。私の場合はこうだった、というだけです。

今日できること — 家賃以外と、初期費用を割る

2つ書き出してください。

毎月かかるもの。

  • 電気代(機材とエアコンが増える分)
  • 水道代
  • インターネットと通信
  • 暖房・冷房の燃料代
  • 駐車場

一度だけかかるもの。

  • 内装、什器、敷金礼金
  • これを何年使うつもりかで割る

私の場合、毎月2万7000円、初期費用を3年で割って2万8000円、合わせて5万5000円でした。家賃0円で、です。

借りるなら、この上に家賃が乗ります。

出た総額を、いまの固定費に足してください。1日あたりいくら稼ぐ必要があるかを計算したことがある人は、そこに足し直すと、単価がいくら上がるかが出ます。

その金額を見てから決めても、遅くないと思います。

この記事の続き

この記事に書いたのは、私に実際に起きたことです。人に任せる順番、お金と時間を手元に残す組み方。その手順までは、この記事に書いていません。

記事は、私が何をしたかの記録です。教材は、あなたが明日やることの手順です。

そこだけをまとめたのが LOCALANCE BOOKS「経営の書(上級)」です。私が実際に使っている型をそのまま置いています。目次と中身は、このすぐ下から確認できます。