実績が1つもなかったとき、私は1本5万円で受けました。日あたり11,500円です

実績が1つもない状態で、最初の仕事をいくらで受けるか。福島で映像制作をする私は、1本5万円で受けました。手残りを実作業の日数で割ると日あたり11,500円です。続けられる金額ではありませんでした。それでも受けた理由と、いま振り返って条件をつけるとしたらどこか、実際の数字で書きます。

実績が1つもなかったとき、私は1本5万円で受けました。日あたり11,500円です

実績が1つもない状態で、最初の仕事をいくらで受ければいいのか。

私はこれを、値段の問題だと思っていました。安くすれば受けてもらえる、と。

実際に受けた金額を先に書きます。チャンネルの立ち上げは無償、動画は1本5万円でした。経費を引いて手元に残ったお金を、実際に働いた日数で割ると、日あたり11,500円ほど。当時の私の暮らしでは、この単価のまま続けることはできませんでした。それでも、受けたこと自体は後悔していません。

この記事は、実績がなくて営業しても届かない、と感じている人へ向けたものです。私が実際に出した数字と、いま振り返って条件をつけるとしたらどこかを書きます。

営業しても届かなかった相手がいる

独立して間もない頃、行政と銀行にメールを送り、挨拶にも行きました。

結果を書くと、個人事業主の段階では直接の取引には至りませんでした。

理由をこちらから確かめたわけではありません。ただ、調達のルール、法人であることの要件、すでにある取引、信用の面。そういったものが関わっていたのだろうと思っています。ここは私の推測です。

だからこの記事では、行政や金融機関への直接営業を「初心者がまず取るべきルート」としては書きません。地域や案件によって条件は違うので、「個人事業主では取引できない」とも書きません。私の場合は届かなかった、というだけの話です。

最初の直接受注は、紹介から来ました

では、どこから来たか。

先に関わっていた制作会社が、ある企業のWebサイト制作を担当していました。その関係から紹介されたのが、私の最初の直接受注です。

紹介と書くと運の話に聞こえますが、私の場合、紹介が生まれなかった現場のほうがずっと多いです。そのあたりは紹介について書いた記事のほうに書きました。

「もともとつながりがあったんでしょう」と思われるかもしれません。ありました。ただ、そのつながりも最初は無いところから始まっています。私の場合は、ライブハウスでバンドの映像を撮り続けていて、その投稿を見ていた制作会社の人から声をかけられたのが入口でした。

最初は狙ってやっていたわけではありません。好きで撮っていただけです。ただ途中で、見られる状態を作らないと意味がないと気づきました。そこからは意識してやっています。

相談の内容は「自分でYouTubeを作れるなら、うちのチャンネルの立ち上げを手伝ってほしい」というものでした。

ここが分かれ目だったと思っています。私は「映像を作れます」と言っていたのではなく、自分のYouTubeチャンネルを実際に運用していました。企画して、撮って、編集して、アップロードするところまでを、他人が確認できる形で外に出していた。

実績とは、自分が作ったもののことではありません。他人が確認できる形で外に出ているもののことです。

これは映像に限りません。Webサイトでも、デザインでも、文章でも同じです。納品して終わりにしていると、作った数と、見せられる数はまるで違ってきます。

私が作った映像は、それ以前にもありました。ただ、人に見せられる場所に置いていなかった。だから無いのと同じでした。

1本5万円に、何を含めていたか

金額の話に戻ります。

  • チャンネルの立ち上げ … 無償
  • 動画1本 … 5万円

5万円に含めていた範囲は、企画、撮影、インタビュアー、編集、YouTubeへのアップロード、概要欄の管理、SNSへの投稿まで。

5万円に含めた企画、撮影、編集、投稿など7項目の図解

同じ形式で約4本を作り、動画制作分の売上は約20万円でした。

日あたりに直すと11,500円でした

ここからが、当時の私が計算していなかった部分です。

1本あたり、撮影に1日、編集に約3日かかっていました。外注はしていません。交通費を引いて手元に残ったお金は、1本あたり約4万6000円でした。

ここから先は、正直に書きます。

企画とアップロードとSNS投稿も自分でやっていたので、実際には4日では終わっていません。5日か、それ以上かかっていたと思います。ただ、当時は作業時間を記録していなかったので、確かな日数が出せません。

そこで、いちばん自分に有利な4日で割ります。4万6000円÷4日で、日あたり約11,500円。

約4万6000円を4日で割り、日あたり約11,500円になる計算図

これが上限です。実際はもっと低い。

その金額は、続けられる水準だったか

いまの私は、現場に出るときの基準を時給12,500円に置いています。ただ、そこまで動かすのに数年かかりました。当時からいきなり上がったわけではありません。

書きたいのは金額の差ではなく、当時の私が自分の単価を知らないまま働いていたということです。

それでも、受けてよかったと思っています

理由は1つです。

この制作を経て、SNSまわりの業務委託につながりました。2026年時点で3年目の継続契約です。

4本の制作は、睡眠を削るような負荷でした。当時の私は独身で、時間を全部つっこめました。その条件があって初めて成立しています。

守るものがある人が同じ入り方をするなら、本数を絞るか、期間を切るかだと思います。4本ではなく1本にする。あるいは「今月まで」と決めておく。投資として受けるなら、量か期間のどちらかに上限が要ります。私はどちらも決めていませんでした。

ただ、知名度も実績も無い状態から、継続して声がかかる関係が1つできた。私は、それに見合ったと判断しています。

これは私の選択であって、健康を削る働き方を勧める話ではありません。

ただし、いま同じことをするなら条件をつけます

当時の私が付けていなかった条件が2つあります。

1つは、投資を終える条件を先に決めることです。

安く受けるのを「広告宣伝費」「実績を作るための費用」と考えるのは、私はありだと思っています。ただ、費用には期限が要ります。何本まで、いつまで、と決めていないと、それは投資ではなく、ただ安いだけの仕事になります。私は決めていませんでした。

投資を終える条件として、何本までといつまでが未確定だったことを示す図

もう1つは、次につながる提案を先に用意しておくことです。

私の場合、SNS運用の業務委託につながったのは、正直に言えば結果論です。動画を作っているうちに、そういう相談が来ました。先に設計していたわけではありません。

いま同じ立場なら、「この4本が終わったあと、続けるならこういう形があります」という話を、最初の見積もりと一緒に出しておきます。

もう1つ言うと、金額を決めても、どこで終わりかを書いていないと別のところで揉めます。それは「初稿まで」で揉めた話に書きました。

技術ではなく、速さで使われていました

もう1つ、当時の自分について。

初期の私の技術は、高くありませんでした。

それでも制作会社から繰り返し声がかかったのは、返信が速いこと、納品が速いこと、指示への対応が速いことだったと思っています。当時の私は、通知に気づいたら返す、編集は1日1本上げる、修正依頼は遅くとも翌日までに返す、という動き方をしていました。

これは私が初期にやっていたことであって、24時間いつでも返信しろという話ではありません。いまの私はやっていません。

ただ、実績がない段階で相手が見ているのは、作品の出来だけではなかった。それは確かだと思っています。

では、その速さで入ったあと、金額はどう動いたのか。単価を1円も上げないまま収入が変わった話は、別の記事に書きました。

今日できること

実績がないと思っている人に、1つだけ。

いま人に見せられる実績を、数えてください。

作ったものの数ではありません。URLを送れる状態になっているものの数です。

自主制作でも、友人の手伝いでも、無償でやったものでも構いません。それが1つでもあれば、「映像を作れます」ではなく「これを作りました」と言えます。

数えて0だった人へ

納品したものはあるのに0になった、という人が多いと思います。私もそうでした。作ってはいるが、人に送れる場所に置いていない。

その場合にやることは2つです。

1つは、載せていいか聞くこと。私はこう送っています。

先日はありがとうございました。もし差し支えなければ、今回の制作を実績として自分のサイトに掲載させていただけないでしょうか。掲載してよい範囲(社名を出す/出さない、画像の使用可否)を教えていただければ、その形で載せます。難しければ遠慮なくお伝えください。

納品から時間が経っている相手には、一行目だけ変えます。

ご無沙汰しております。以前ご依頼いただいた◯◯の件で、ひとつお願いがあってご連絡しました。

数えて0になる人の多くは、昔やった仕事を持っている人だと思います。何か月前でも、聞いていいです。私も後から聞いたことがあります。

断られる前提で、範囲を選べる形にして聞くのがコツです。「載せていいですか」だけだと、相手は全部か全部無しかで考えます。社名を伏せてよければ載せられる、という返事はよくあります。

もう1つは、置き場所を決めること。自分のサイトが無いなら、無くて構いません。noteでも、Xの固定投稿でも、Googleドキュメントを共有リンクにしたものでも、URLが送れれば実績です。

私が最初に人へ送っていたのは、自分のYouTubeチャンネルのリンク1本でした。立派なポートフォリオサイトではありません。

サイトを作ってから、と考えると、たいてい始まりません。

1件に書くこと

凝る必要はありません。相手が知りたいのは、あなたが何をやったかだけです。

  • 何を作ったか(例:飲食店のWebサイト)
  • どこまで自分がやったか(企画から?デザインだけ?写真は誰が撮ったか)
  • いつ頃か
  • 見られる形(URL、画像、どちらでも)

「どこまで自分がやったか」が一番大事です。ここを書かずに完成物だけ並べると、次の相手が「この人にどこから頼めるのか」を判断できません。私は最初これを書いておらず、「撮影もできるんですか」と何度も聞かれました。

ここだけの話

偉そうに日あたり11,500円とか計算していますが、当時の私は電卓を叩いてすらいません(笑)5万円が入金されて「おお」と思って終わりです。計算したのは、法人化して固定費を把握しはじめてからでした。あのとき知っていたら、たぶん受けなかったと思います。知らなかったから受けて、それで次につながった。だから、なんとも言えないんですよね。

この記事の続き

この記事に書いたのは、私に実際に起きたことです。最初の案件をどう取るか、見積もりをどう作るか、どう断るか。その手順までは、この記事に書いていません。

記事は、私が何をしたかの記録です。教材は、あなたが明日やることの手順です。

そこだけをまとめたのが LOCALANCE BOOKS「受注の書(入門)」です。私が実際に使っている型をそのまま置いています。目次と中身は、このすぐ下から確認できます。